仕様と施工

技術資料

シート防水の施工や補助材料に関するもの

施工時の温度

1.低温時の作業について

下地面の温度が低いと、接着剤の乾燥が遅く、溶剤が揮散しにくいので十分な接着力が確保できない場合があります。極端な例では、トルエンは-4℃で凍結してしまうのでこの温度では蒸発しないことになり施工が出来なくなります。一般的に気温が5℃以下では、施工を避けるのがよいとされています。
特に気温が低く、接着剤の乾燥がしにくい時に、加熱用バーナーを使用することは、溶剤へ引火して、爆発などを引き起こし、人命に係わる事故となることがあるので禁止して下さい。

2.寒冷地工法の留意点

シートは低温でも柔軟性があるすぐれた材料であり、寒冷地においても十分にその機能を発揮しますが、多雪地で雪下ろしを必要とする地域での露出工法は防水層を損傷するおそれがあり、不向きです。また施工時および施工後の凍害、水分の乾燥状態など種々の問題があり、次にあげた寒冷地での留意点を考慮した設計・施工を行う必要があります。

  留意点
スラブ
  • 気候が不安定なときは工事中屋根カバーをかけることが望ましい
  • 内断熱はスラブの乾燥をおくらせるので外断熱がよい
  • 所定の乾燥確保のため工期を十分にとる
  • 脱気工法との併用も考慮する
ドレン
  • 縦引き型とする
  • 凍結防止のためドレンヒーターを使うことが望ましい
  • 日当たりのよい場所に設置する
  • 内樋方式が一般的である
パラペット
  • 立上がり高さは積雪を少なくするため低くとる方がよいが防水層の納まり具合より300~450mm程度とする
  • アゴつき水切り方法は、凍害のトラブルが生じやすいので極力さける
  • 天端勾配は内壁側勾配とする
  • 手摺りはパラペットに直接取り付けないようにする
軒先
  • 軒先は凍害のトラブルが生じやすいため、立下り部は防水層を軒裏まで巻き込み水はけをよくする
笠木
  • 金属笠木とする
  • タイル、Pcaなどの左官材料は凍害を受けやすいためさける
  • 温度差を考慮し本体の長さはアルミで2m、ステンレスで3m以内とし、オープンジョイント方式とする
  • 笠木の出は壁面より15mm以上とし、かぶり深さは50mm以上とする
保護層
  • エマルション系塗料は極力さける
  • コンクリートは豆砂利25~35mmφを使用し固練りとする
  • コンクリートは60~100mm厚とする
  • 保護コンクリートと防水層はポリエチレンシートなどで絶縁する
  • 目地は立上がりから60cm以内に設ける。また目地間隔は3m程度とする
  • 目地幅は20~30mmとする
  • 立上がりを保護する場合はコンクリートがよい