技術資料
シート防水の施工や補助材料に関するもの
シート防水のふくれ対策
(1)コンクリートを打設してから、コンクリートの養生時間が短いため、水分が多く存在する場合。
(2)コンクリートスラブ下に打ち込まれた断熱材や、デッキプレートなどで、下面から余剰水が蒸発しないために、スラブに水分が多く存在する場合。
(3)吸水性の大きい骨材(人工軽量骨材・火山砂利骨材・パーライトなど)を用いたコンクリートなどは、骨材に含まれた水分の乾燥が著しく遅いため、一見表面が乾燥しているように見えても、内部に水分が多く存在する。
(4)材料の吸水性が大きく乾燥に日数を要する下地。例えばALCパネルが、長期間降雨を受けた場合などは、内部に水分が多く存在する。
(5)工程上、下地未乾燥のまま、防水施工を余儀なくされた場合。
(6)防水施工中に、降雨降雪に遭遇した場合。
(7)防水施工時のプライマー、接着剤のオープンタイムの不手際や、下地の種類により溶剤を異常に吸込んでいる。
(1)コンクリートスラブが十分乾燥している条件下で行う。
(2)通気テープを用いて水蒸気を誘導し、25m2~100m2ごとに設けた脱気筒、脱気盤や立上り部の脱気孔に導いて外部に水蒸気を放散させる方法。
(3)通気シート、例えばポリエチレン発泡シートなどに特殊な溝をつけて、溝空間を利用して水蒸気を通気放散させる方法。
(4)入隅に穴あきパイプを設置して水蒸気を通過させる方法。
(5)コンクリートスラブ中に脱気装置を埋め込んでおく方法。
なお、脱気に関しては次にような方法や指針が示されています。
シート防水工法において、下地と防水層の間にある水分や溶剤が気化してふくれを発生させることが あります。その原因は次のような状況が考えられます。
3.1 脱気工法
脱気工法は下地コンクリートに含有される水分の影響により、シート防水層にふくれやしわなどの発生が予想される場合に適用する。
一般的に脱気工法が採用されると下地としては次のような場合である。
① デッキプレート型枠コンクリート下地
② 断熱材打込み下地
③ 改修工事におけるコンクリート保護層下地
④ 寒冷地などで乾燥が不十分な下地
実際に使用されるシート防水の脱気工法システムとしては、通気テープ又は通気シートのいずれを使用し、下地含有水分による湿気を脱気装置を通して大気中に放出させ、シート防水のふくれやしわなどの発生を防止するシステムである。
脱気装置としては、脱気筒が使用されるケースが多いが、その他脱気盤や立上り面に開口部を設け、外部に水蒸気を逃がす方法などがある。
形式 | 型 | 材質 | 取付け間隔 | 備考 |
---|---|---|---|---|
平場部脱気型 | ポリエチレン 塩化ビニル ステンレス鋼 鋳鉄 |
防水層平場 25~100m2に1個程度 |
防水面積の大きい場合など、必要に応じて立上り部脱気型装置を併用することもできる | |
立上り脱気型 | 合成ゴム 塩化ビニル ステンレス鋼 鋳鉄 |
防水層立上り長さ10m間隔に1個程度 | 防水面積の大きい場合など、必要に応じて平場部脱気型装置を併用することもできる |
3.2 脱気工法の適用例
(1)通気テープを使用する方法
通気テープを下地を防水層の間に一定間隔に設け、その交差部に脱気装置を取り付け、水蒸気を外部に放出する。
通気テープには、不織布テープや溝付きテープなどがある。
通気テープによる脱気システム
脱気装置は、1つの屋根に2箇所以上で、25~100m2につき1箇所の割合で取り付ける。
通気テープ・脱気装置の設置例
(2)通気シートを使用する方法
下地コンクリートの表面に通気シートを溝側を下地面に張付け、この溝に沿って水蒸気を脱気装置に導き外部に放出する。
通気シートとしては、連続した亀甲状や格子状の溝を有する合成樹脂製発泡シートや通気性の大きい不織布シートなどがある。防水シートに通気層を積層した通気層付きシートもある。
通気層付きシートの例
通気シートによる脱気工法の施工例